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法話

法話(オンライン法話のテキスト版です)

令和7年 6月 法話

6月になりました。いよいよ今年も梅雨に入ります。この時期になると、蚊・百足・ハネアリなど、小さな生き物に悩まされます。
さて、安居(あんご)という言葉をご存じでしょうか?
2500年前のインドで、お釈迦様がご在世の頃、修行僧達は托鉢を行い日々の糧を得ながら修行をされていました。
ところで、インドには四季がなく、あるのは雨季と乾季だけだそうです。雨季になり、雨が降れば、植物は芽を出し、虫達はその植物を求めて動きだします。そうした時期に歩いていては、知らないうちに無数の「いのち」を踏み倒していることもあります。
そのことを悲しまれたお釈迦様は、雨季の間は外に出ずに、屋内で修行を続けられたそうです。この屋内で修行を続けることを安居といいます。すべての「いのち」は縁によってつながっている。だからこそすべての「いのち」を大切にするという仏教の心が最も現れた姿勢ではないでしょうか。
 仏教はインドから中国へそして日本へと伝わりました。日本に伝わったのは今から1500年前と言われています。そして聖徳太子は仏教の教えを「和」ということばで受け入れていかれました。聖徳太子が制定されたといわれる憲法十七条の「和を以て貴しとなす」はあまりにも有名です。
 子ども達に「和」という話をしたとき、「それ知っている。足し算のことやろ」と言われました。二つ以上のものを合わせることを「和」といいます。聖徳太子は足し算が大切と言われたのでしょうか?
 日本料理で、「和え物」というものがあります。野菜や魚介類に調味料を加えたものですが、胡麻和えをはじめ、芥子和え、味噌和え、梅和え、白和え、といろいろな和え物があります。どれも美味しそうですね。和え物の特徴はハンバーグのように具材が分からないように混ぜてあるのではなく、すべての具材が目に見える形で合わさっていることです。一つ一つの具材が主役で互いに引き立て合っている。それが「和える」ということではないでしょうか。
 『仏説阿弥陀経』に「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」と説かれてあります。、これは阿弥陀如来のお浄土に咲く蓮の花のありさまを語ったものです。この「青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には白き光あり。」という言葉は、それぞれがその色のまま光り輝いているということを語っています。
 子どもの頃口ずさんだ「チューリップ」の歌を思い出します。この歌では「どのはなみみてもきれいだな」と歌われます。
 一つ一つの「いのち」を大切にそして互いに認め合いながら生きていく世界。戦後80年を迎えるこの年、あわためて「平和」という言葉の尊さをいただきながら歩みたいものです。


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